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アフリカ・ルワンダ オフショア開発 / 進出支援コンサルティング
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アフリカの若者の労働問題と国際社会の関わり【Pick-Up! アフリカ Vol. 229:2021年10月25日配信】

アフリカの若者の失業危機がグローバルな問題に

英題:Africa’s Youth Unemployment Crisis Is a Global Problem

記事リンク:https://foreignpolicy.com/2021/10/19/africa-youth-unemployment-crisis-global-problem/

内容と背景:

本日はアフリカの若者の労働問題についての記事をご紹介します。

アフリカは世界の中で最も若い世代が多い地域であり、その平均年齢は20歳ほどであると言われています。このように若年層の人口が多いということは、その地域の発展に寄与するエネルギッシュな労働力が豊富であることを象徴していると言うことができますが、アフリカの若者を取り巻く労働状況がそのポテンシャルを消し去ってしまっています。

こうした状況に関連して、今回の記事ではアフリカの厳しい労働状況が国際的な問題を呼び起すと同時に、アフリカに関わる国際社会がそうした状況を維持する原因にもなっていることについて述べられています。

アフリカの若者の労働状況

まず記事では、アフリカ開発銀行の2015年の調査レポートを紹介し、15歳から35歳までのアフリカの若者の2分の3を占める4.2億人が職につくことができず、また賃金雇用に就くことができでいるのは6人に1人のみとされている事実が共有されています。

このようにアフリカ開発銀行の調査ではアフリカでの失業率の高さが示されていますが、こちらの資料ではそれとは逆にアフリカでの若者の失業率は世界一低いことが示されており、15歳から24歳までの失業率は10.6%のみに留まると言われています。

こうした極端な差はインフォーマルセクターの存在によって生まれています。アフリカ開発銀行のレポートでは、アフリカでは毎年1000~1200万人が労働力人口に参入するのに対し、正規の雇用は1年で約300万人分しか作られていないと述べられています。しかしながら社会保障が不十分なアフリカでは働かなければ生きていけないために、アフリカの若者のほとんどは非正規であるインフォーマルセクターで働くことを余儀なくされているのです。そのため、この部門を調査対象に入れるかどうかでアフリカの失業率は大きく変化してしまうのです。

インフォーマルセクターというのは正規の経済枠組みから逸脱し、国家による行政的指導を受けることがない経済のことを指します。この部門では政府による法的規制がないために低賃金や不完全雇用が横行しており、社会保障も受けることができないのでセーフティーネットが欠落しています。今回の記事では、そうした理由によってアフリカで大規模な経済部門であるインフォーマルセクターの就業人口の大部分が貧困に陥っているとも述べられています。

したがって、失業者とインフォーマルセクター従事者が大多数を占めるアフリカの労働状況が貧困が蔓延する状態を作り出していると言うことができます。

若者の労働状況が国際的な問題に

記事ではまた、そうしたアフリカの労働状況が国際的な問題を作り出していることについて述べられており、その中の1つとして移民問題が挙げられています。

先に挙げたようなシビアな労働状況によって働いても極めて貧困な状況から抜け出すことができなかったアフリカの若者たちが、先進国に不法移民として入国している状況があります。

こちらのレポートによると、ヨーロッパへの船による不法入国が多い北アフリカのリビアにおいて、2019年の12月には約65万人の移民が発生したとされており、そのうち65%がサブサハラアフリカ出身であったことが示されています。

またリビアから地中海を渡る移民の多くが行き着くイタリアでの2014年の不法移民入国数は約17万人であったことも示されており、アフリカからの不法移民がヨーロッパにとっても重大な課題であったことが分かります。2014年以降はこうした状況による反移民感情の高まりからヨーロッパで不法移民に対する措置がとられ、2017年にその数は約5万人まで減少しました。

とはいえ、アフリカからの不法移民がまだまだ多いことも事実であるし、反移民感情がヨーロッパ内の移民に対する差別を強めるなど新たな問題も生じている中で、この問題に対する根本的な解決策としてアフリカでの労働問題の改善は国際社会にとっても大きな課題となっています。

アフリカの若者の労働問題に対する国際社会の関わり方とその問題性

アフリカの労働問題の改善のために国際社会はアフリカの人材開発を進めていますが、記事では失業改善の点でその手法に潜在的な問題があると述べられています。

これまでの取り組みとして、アフリカ政府や開発パートナーは失業の状況を改善するために、アフリカの若者に対して農業、製造業といった最重要部門でのスキル教育を行うとともに、それら部門での起業(アントレプレナーシップ)を促してたことが紹介されています。

またそれらの取り組みがある程度の効果を見せてきた反面、限られた分野のみに重きが置かれたことでその他の部門の成長の阻害や、これらの分野に入りきれない人材が除外されてしまったり、また限られた分野に人材供給が集中してしまったりするような社会構造を生み出してしまったとも書かれています。

それに加えて、そうした部門での起業を促進することで人財の供給に対して雇用も増えていくと考えられていましたが、こちらのレポートではアフリカの若い起業家のうち成功しているのはわずかであることに触れ、さらに成功したとしても、同年代の若者を長期的に雇用できる状況にないことを示し、雇用の循環ができていないことも一つの課題であるとしています。

また記事では、農村部に住む若者が多いことに触れ、彼らが農業関連のビジネスを始める際に必要な資金や土地を手に入れることができない状況についてガーナやウガンダの例を用いて述べられています。

そのことについて、こちらの記事では農業ビジネスを始めようとしている若者のうち、37%が資金調達の問題を抱えており、若者は不動産を有しておらず、伝統的な慣習や家族の価値観が若者による土地のアクセスやその土地への所有権を制限することもあると示されています。これにより、農業に強い関心を持つ若者がいるにもかかわらず、農業ビジネスへの参入が困難になっています。

さらに農業と起業という観点から、起業の促進による雇用の生産が期待されたようにうまくいかなかったために農業、製造部門における人材供給が雇用需要を大きく上回り、それが結局失業問題につながってしまったと記事では述べられています。

また、もう一つの社会構造的な問題として、若者が他種の物事に触れる機会が少ないことがあるとし、これが職や雇用の多様性の欠如、教育レベルと、その後の社会で働く上で求められるスキルとの間のギャップ、若者の人財集中の問題に繋がっているとも共有されています。

特に教育レベルとスキルとのギャップについて、こちらの記事ではアフリカで初めてインターンシップのプラットフォームが作られたことについて述べられていますが、これが初の試みであったことからも分かるように、アフリカではインターンシップを経験することで就職後に必要な経験を身に着ける機会がほとんどないためにこのギャップを埋められない状況があります。

若者の人財集中の問題を解決する一つの方法として、最優先の部門(医療、農業、製造業、ビジネス)のみに留まらず、他の様々なクリエイティブ部門(文学、芸術、ドラマ、ファッション)などへの興味関心を高めることを実現することで、それらの分野での雇用を作ることも雇用の分野において多様性を生み出す上で重要であるとも示されています。

元来、アフリカの親御さんがその子供たちをこれらのクリエイティブな分野に導くことに消極的であることを指摘するとともに、それらが、研究や調べ物などに適した図書館や、文化的な学問に触れる機会の少なさに起因するとし、アフリカ各国の政府や開発パートナー、そしてアフリカに進出する国際企業に対し、社会貢献の一部としてそれらの分野での貢献を促すとともに、普段アフリカでは重要とされない考古学などの学問への若者の進学が促されています。

実際に、人口が6500万人のフランスでは16500個の図書館が存在するのに対して、人口が5500万人のケニアでは64、2億1000万人のナイジェリアでは316個のみ存在しているのを考慮すると、この部門での開発がまだまだ進んでおらず、雇用もほとんどないことが分かります。

しかしながら図書館の効果はクリエイティブ部門での雇用の創出のみに留まらず、図書館で本を読むことで様々な部門の知識を取り入れることができたり、学生の学習の効果や研究の精度を高めることにも役立ちます。

これらのことによって、記事ではクリエイティブ部門での雇用の創出が人材供給のバランスを是正して失業を減らすとともに、アフリカの若者の人材成長を促すと結論付けられています。

実際にこの記事ではナイジェリアで国立芸術劇場が改修されることについて書かれていますが、改修と、その後の収益性の高い事業による16000人の雇用に加え、クリエイティブ部門での産業の活性化によるこの分野での人材育成が見込まれるとされています。

このように、アフリカにおけるクリエイティブ部門の拡大は失業問題を大きく変える可能性を持っています。

アフリカで大きな割合を持つ若者の問題はこれからの時代重要な議題になっていくと考えられます。またこの件について情報が入りましたらお伝えさせていただきます。

関連・参考記事:

1.Jobs for Youth in Africa –Link

2.Global Employment Trends for Youth 2020: Africa –Link

3.Africa Migration Report –Link

4.Youth employment in sub-Saharan Africa: Progress and prospects –Link

5.ナイジェリア:国立芸術劇場の改修で多くの雇用を創出?【Pick-Up!

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