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石油資源の価格高騰、アフリカの農業への影響は?【Pick-Up! アフリカ Vol. 244:2021年12月9日配信】

訳 : 最も貧しい人たちが直面する肥料不足による食糧危機

英題:Poorest face food crisis amid fertiliser shortage

記事リンク:https://www.bbc.com/news/business-59428406

こんばんは!いつもPick-up!アフリカをご覧くださり、ありがとうございます。

2020年はじめから世界中で爆発的な感染拡大を見せている新型コロナウイルスは、社会に大きな影響をもたらしました。特に経済面に与えた影響は甚大で、各国の大都市でロックダウンが行われたり、各地で国際的な流通の滞りが見られました。(1)

現在世界各地でコロナウイルス感染の収束に伴い、世界経済にも回復の兆しが見られる一方で、天然ガスをはじめとする石油資源の価格高騰が問題となっています。

燃料価格の上昇は、一見関係がないように見えるアフリカの小規模農家にも大きく影響を及ぼしています。今回取り上げる記事は、そんな記録的な高値を記録している天然ガスの高騰が、アフリカの農業に与える影響についてです。

過去最高レベルの肥料価格の上昇

今回ご紹介するニュースで問題とされているのが、肥料価格の高騰によってアフリカの小規模農家が壊滅的な被害を受けているという事です。

このような事態が引き起こされた原因として、肥料を生産する際に原料として用いられる硝化アンモニウムの価格の上昇があげられています。肥料の必須要素として、窒素、リン酸、カリという三つの主成分によって構成されています。硝化アンモニウムは、このうちのリン酸肥料の製造に必要であり、アメリカの農業省が発行したレポートによるとリン酸二アンモニウムの価格はこの1年間で78%以上上昇したと発表されています。

また同レポート内では、リン酸以外の要素である窒素系肥料においても、無水アンモニウムと尿素という原材料の価格が同時期に2倍以上高騰したと述べられています。(2)

これらの価格の上昇は今年の10月から発生しており、天然ガスの価格上昇によって引き起こされているとみられています。

別の記事の中では、中国での国内の供給量確保のための輸出制限、アメリカでの台風上陸による影響、ヨーロッパの電力供給の問題も、これらも価格の変化に影響を及ぼしている理由であるとされています。(3)

このような原料価格の上昇の原因となっているのが、肥料の製造に必要とされる天然ガス等の燃料資源の値上げです。こちらの参考記事によると、去年一年間の世界的な新型ウイルスの感染拡大による経済の滞りから、ここ数カ月でコロナ禍以前の経済活動が急速に取り戻されつつあり、石油資源の需要もそれに伴い増加していることから、このような価格の高騰が発生していると見られています。(4)

アフリカでの肥料の必要性

では、肥料の使用は現在のアフリカ農家にとって、どれくらい重要なモノなのでしょうか。当サイトでは以前、アフリカでの化学肥料の普及に関する記事を掲載しました。その記事の内容によると、未だにアフリカでの肥料の使用率は世界のほかの地域と比較しても低いことが問題として取り上げられています。

こちらの別のデータを参照しても世界の平均肥料使用量が1haあたり135㎏であるところ、アフリカ全体での平均肥料使用量は17㎏しかないことが記されています。(5)

アフリカでの肥料の使用率が低い原因としては、肥料を購入するための資金力不足や、肥料に対する知識不足、インフラが未整備であることによるアクセスの悪さが挙げられます。

輸送コストがアフリカの農業に与える影響については、ぜひこちらの記事をご参照ください。(6,7)

このようにアフリカは肥料の使用率が未だに低い地域でありながら、一方で肥料の重要性も明らかになっています。アフリカの農家において適切な量の施肥を行った場合、数カ月のうちに生産量を48%、利益を36%増加させることが過去の研究結果から明らかになっており、特に干ばつや、急激な人口増加に伴う過剰な耕作により土壌の劣化が著しいアフリカでは、化学肥料なしに人口を賄うだけの生産を行うことは非常に困難であるとされています。(7)

肥料の価格がアフリカの農家に与える影響

本記事でご紹介しているニュースでは、この肥料価格の高騰がアフリカの小規模農家など世界でも最も貧しいとされる人々の生活に強く影響するだろうとまとめられています。

このような肥料価格の高騰は、アフリカの農家にどのような形で影響を及ぼすのでしょうか。実際に、新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の変化はアフリカの農業に大きな打撃を与えました。

その中でも肥料に関して言及すると、アフリカの農家の多くが使用する肥料の多くをアジアからの輸入に依存しており、今回のウイルス感染拡大によって多くの肥料工場が製造を停止せざるを得ない状況となったことで、アフリカの小規模農家が最もその影響を強く受けたと言えます。(過去の掲載記事から、8)

肥料の価格の高騰による小規模農家への被害については政府レベルでも問題視されており、別の二ュースでは、今年の八月に東アフリカの小国マラウイの大統領が肥料価格の高騰に対する緩和措置の実施に言及していることが報じられています。

現在マラウイにおける肥料の市場価格は、50㎏あたり40~50ドルとなっています。これは昨年度の約2倍ほどの価格であり、大統領の発言によるとマラウイの農家の約80%が経済的な事情により肥料を購入することができていないと言います。(9)

予想される今後の展望

もう一度肥料の価格上昇の原因に立ち返って、この肥料の価格上昇が与える影響、そして今後の展望について考察していきましょう。

ノルウェーの大手肥料企業であるYara社のCEO、スヴェイン・トーレ・ホルセザー氏は、肥料価格の上昇が天然ガスの価格上昇によって起こっていると話しています。ヨーロッパの天然ガス価格は、今年の6月から10月までの間に3倍以上に上昇しました。天然ガスは、肥料の主成分であるアンモニアを合成する際に必要とされる電力を生成するために必要となるため、天然ガスの価格の高騰は肥料の価格の上昇に直結します。(10)

天然ガスの価格の高騰、それに伴う肥料価格の上昇について紹介してきましたが、最も深刻な問題は肥料価格の上昇によって肥料を手に入れることが困難になった小規模農家たちです。

ホルセザー氏によると、肥料価格の上昇と連動して食糧価格の上昇が見込まれるため、一部の農家は農産物を高い価格で販売することが可能となり、収入が増加する可能性があるとみられています。

一方で肥料を購入できるほどの資金力を持たない最貧困層の農家は、今まで以上に収量が減少し、より一層厳しい状況に追い込まれることが予想されています。(10)

さらに悪い状況として、今回の肥料の価格上昇と流通量の低下に伴い、全体的な農産物の収量の減少、それによる食糧価格の上昇が予想されており、結果的に経済的に弱い立場にいる人たちの食糧の確保は、さらに困難になるという状況が考えられます。(10)

今冬はヨーロッパで記録的な寒さになることが予想されており、より一層の石油燃料の需要の高まりが予想されています。そのため、EUとイギリスの27か国におけるガスの貯蔵量は10月のはじめと比べて58テラワット減少しており、この数値は過去十年間で最大級の減少量となっています。(11)

また2021年12月の現時点では、新型コロナウイルスの新たな変異株であるオミクロン種の発生が確認され、世界規模での感染が危惧されています。

今後これらの減少が、石油資源の価格やそれに付随する世界経済にどのような影響を与えていくのか、注目が集まります。

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